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10年夢blog 第1回 [GBA作品(小説)]

10年夢blog 第1回

 人が見る夢には二種類ある。寝て見る夢と、起きて見る夢だ。
 そして寝て見る夢にも二種類ある。起きたら忘れる夢と、起きても覚えている夢だ。
 俺の場合、起きても覚えている夢は、特別なものであるらしい。
「畜生あの夢のせいだ畜生」
 今日みたいに、こんな言葉を吐きながら帰宅した日には特に。

 事の次第はこうだ。
 昨夜から今朝までのいつの時間帯かは知らないが、ともかくこんな夢を見た。
とき:高校時代の夏休み
ところ:薄汚い教室
登場人物:井川修治(=俺)、英語の先生、その他生徒30名弱
あらすじ:
 修治は夏期講習と題した英語の授業を受けていた。補習じゃない、自主学習だ。そんなお題目であろうと気の進まない授業であったことには変わりない。要は受験対策である。
「どどどど、 Don’t miss the bus!!!」
 どういう文脈か不明だが教師は諺を引用した。夢のシナリオは往々にして脈絡などないものである。問題はこの諺が、俺の目覚めに至るまで何度となく繰り返されたことだ。夢の中の俺は三回目くらいで復唱を止めた。現実だったら二回目で止めていただろう。出も他の生徒は延々と、教師の後についてバスを逃すなよと繰り返し続けていた。

 では、その秋の某日には何が起きたというのか。
 朝に忘れ物をして一度家に戻った。いかん、このままではバスに間に合わない。冗談じゃない、夢の通りになってたまるか。というわけで運動音痴が珍しく奮起して猛ダッシュを敢行。ギリギリ間に合うどころか、最終的に停留所で1分くらい待つことになった。
 俺は勝った。あの高校時代の英語教師に勝った。いや、自分の夢に今度こそ勝ったのだ。何を持って勝敗が決まるのだとか無粋なことは聞くな。何か清々しい気すらしてきた。
 ああ、そう思っていたのに。
 順調に進んでいたデスクワークに一区切りつけ、昼休みにwwwを見ていて気がついた。今日はドイツ語の検定試験の申込締め切り日だった。
 なんてこった。そもそも今日に至るまで書類ももらっていない。大体気がついたのだって手帳の予定を見たからではなくて、ブランデンブルク門によじ登った変な日本人男性(31歳元会社員)のニュースを見たからという始末だ。
 嘆いている場合ではない。とっとと申し込まなければ。いつまで経っても契約社員の俺が這い上がるためには一つでも多くの資格が必要だ。短絡的だと笑わば笑え。
 慌ててブラウザを再起動してサイトを見る。とりあえずオンラインの手続きがあるだろう。
 そう思ったときには既に遅かった。オンラインの〆切はもっと早かったのだ。
 嘆いてもしょうがない。応募書類と受付は指定の書店で、というのだからもはやそこに行くしかあるまい。外出の時間内に急いでいって申し込むしかない。時間的に行ける場所で、指定の書店になっているのは3店舗。
 一件目→願書が既に無くなっていた。午前10時で締め切ったという。見ればポスターも剥がれさている。
 二件目→正午で締め切ったほかは変わらず。
 三件目→以下同文。
 三連敗だ。
 俺には現状打破のために乗るべきバスがあった。それに乗り遅れたのだった。

(続く)


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